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でかいチーズをベーグルする

でかいチーズはベーグルすべきです。

Impact = Luck x Skill

ICCSS2015 (International Conference on Computational Social Science)に参加してきた。最近ちょっと盛り上がりを見せている(?)Computational Social Science に関する会議で、今年から始まったらしい。注目すべきなのはなんといっても招待講演者の豪華なラインナップ! ワッツとかバラバシとかこの分野で著名な研究者が13人も招待講演をしてた。一般発表もあったんだけど、多分ほとんどの参加者が招待講演を聞くのを目当てに参加してたんじゃないかな。

招待講演は全部YouTubeに上がってるのでここで見ることができる。画質も音質も綺麗で素晴らしい!

www.youtube.com

バラバシ「Impact = Luck x Skill」

で、いろんな人の話を聞いたんだけど、バラバシの招待講演がダントツで一番面白かった!スケールフリーの話とかするのかな―と思ってたけど全然違う話だった。

www.youtube.com

論文がどれだけ引用されるかはたった一つのパラメータで決まる

よく言われるように、インパクトファクターは引用数の良い指標とはいえない。インパクトファクターの高い論文誌で論文を発表しても、個々の論文の引用数にはかなりの開きがある。実際、Natureなどの良い論文誌で発表された論文でもその大半は 一度も 引用されない。

バラバシたちは全ての論文は全く同じルールにしたがって引用されていくことを発見した。全ての論文は発表されてから徐々に引用されやすくなり、ピークを迎えた後に引用のされやすさが減少していく。この引用の時系列のモデルのパラメータは以下の三つ

  • Fitness: 論文の質を表すパラメータで、ピーク時にどれだけ多くの引用を集めるか。
  • Immediacy: 発表されてすぐに引用をたくさん集めるのか、徐々に集めるのか。引用されるピークはいつかというパラメータ。
  • Longevity: 引用のピークを過ぎた後にどれくらい早く引用されやすさが減少していくか。

人が見ると全く違うカーブに見える引用の時系列を持つ論文でもこのモデルで表現できる。実際、インパクトファクターも分野もぜんぜん違う論文誌でも綺麗に同じモデルで表現できた。

たしかに引用数のカーブはカオス的だけど、これは個々の論文の性質ではなくて、我々がどうその論文を認識するかという問題なので、collective behavior、つまりモデル化しやすいということらしい。

で、この時系列のモデルは三つのパラメータを持つけど、論文が生涯でどれだけの引用数を得るかは結局たったひとつのパラメータで表される。

それが fitness だった。

Impact = Luck x Skill

研究者のキャリアについての話で、ここが最高に面白かった。

ある研究者が発表した論文のインパクト(引用数)は、LuckとSkillによって完全に決まる。Luckは どの研究者に対しても同じ で、論文を発表するたびに一様分布からサンプルされて決まる。Skillは研究者ごとに異なるが、 ある研究者のSkillは生涯変化しない

直感的には、良いテーマに巡り会えるかどうかはランダムに決まるが、それを良い研究にするかどうかはその研究者のスキルで決まるということらしい。つまりは、その研究者が成功するかどうかはSkillパラメータで完全に決まっている。そして、Skillパラメータはその研究者が初めて論文を発表してから10年間のデータでとても高い精度で推定できるらしい。つまり 10年間ろくな成果も出せなかった人は今後も良い成果を出せない可能性が非常に高い! やばい、あと4年だ。

共著者のうちだれがノーベル賞を取るか?

ノーベル賞というのはある論文に対して与えられる。でもかならず第一著者に対して与えられるわけじゃない。じゃあ誰が受賞するのか。委員会が決め方を明に公開しているわけじゃないので、それを予測するアルゴリズムを作ったらしい。

結論から言えば その後も同じテーマで研究を続けた人に与えられる 。面白かったのは、分析の過程で著者順の情報は一切使ってないこと。使ってないというか、ノーベル賞を受賞するかどうかには全く寄与していないということ。第一著者だろうが第n著者だろうがどの程度貢献したかは外の人にはわからないしね。