学振PDでカーネギーメロン大学に留学
研究留学 Advent Calender 2017 の19日目です。特にこれといったテーマも思いつかなかったので、エッセイ的に書きます。
テンプレ
- いついったか:2014年4月から2015年3月
- どこに行ったか:カーネギーメロン大学の Christos Faloutsos 教授のところ(ペンシルベニア州ピッツバーグ)
- 何をやったか:ソーシャルデータとかグラフデータに対するデータマイニングの研究
- どうやって行ったか:出身研究室の教授の紹介(つまりコネ)
行くまで(だけ)が辛かった
Dとった直後に行くことが決まっていたので、博論を書きつつビザ取得とか家探しとかの留学準備をしなくちゃいけなくて、さらにちょうどその時期に結婚したのでその辺の諸々も含めすべて同時にこなさなきゃいけなくてそれはそれは辛かった。人生の節目となるイベントを2つ以上同時にこなすのはやめたほうが良い!
ピッツバーグで暮らす
ピッツバーグで暮らす人はまずは何も言わずにピッツバーグ便利帳を見ましょう。ピッツバーグに滞在する人なら誰しもがお世話になるはず(お世話になりました)。ピッツバーグにはほとんど遊ぶところは無いんだけど、暮らすにはとても良いと思う。バスがかなりしっかり通っているので、車を買わなくても全然生活できる。実際自分は結局車は買わなかった。スーパーも多いし、飲食店もそこそこある。あとは、周辺(?)にナイアガラの滝とか、ワシントンとか、ニューヨークとかあるので、そのへんに遊びに行く人は多い。以前役に立つんだか立たないんだかよくわからない TIPS をここに書いたので参考になれば。
学振PDの給料だとギリギリ!
言わずもがな、海外で外食するととても高い。ピッツバーグは家賃は安かった(1 bedroomで1000ドルくらい)けど、それでも高い。それに自分が留学したときの2014-2015年は1ドル125円くらいしたので、いまと比べると給料が10%くらい目減りしていることになる。さらに、自分は奥さんに仕事をやめてもらって夫婦で行ったので、二人分の生活費を賄うのはギリギリだった。
研究のサイクルを短く多く!
留学に行く前に自分は留学中に何に専念したいかを考えてみたんだけど、せっかく有名研究室に行くんだから、知識を得てくるというよりは、研究の方法論みたいのを学んだほうがいいんじゃないかと思ってそうしてみた。どうしたかというと、
- そこまで良いアイデアだと思わなくても、なんでもかんでも教授に提案して、議論させてもらう。
- Faloutsos 教授は研究テーマ作りの天才(というか神)なので、僕がもっていったそこまで良くないアイデアでも議論を通じて研究テーマまで昇華させてくれた。
- 研究テーマが出来上がったので、毎週毎週教授とミーティングすることができる*1。教授と頻繁に話すことで、超一流研究者の研究の進め方みたいなものが見えてくる。
- ある程度議論が進んだらこの内容で論文を書きたいと言って、書かせてもらう。Faloutsos 教授は大枠の添削はしてくれたので、論文の書き方がかなり学べた。
- 論文が書き終わったらまた1へ。
これが大当たりで、本当にいろんなことを学ぶことができた。とくに論文の書き方を学べたことはその後の自分の研究者としての価値を大いに高めてくれたと思う(価値が高いとは言っていない)。実際に論文の採択率はかなり上がったし、査読結果にも "well written" と書かれることが多くなった。Faloutsos 教授から学んだ論文の書き方は昔ここに書いた。
なんか生活にゆとりがある気がした
日本にいたときと比べて、生活にかなりゆとりがある気がした。日本にいたとき以上に研究に時間を割いていたのに、1年の間にいろんなところに旅行に行ったり、週末はちょっと遠出で遊びに行ったり、夏は(アパートについてる)プールで毎日泳いだりしてた。理由はよくわからないんだけど、たぶんアメリカは一日が24時間以上あるんだと思う。いまの生活にゆとりがないなぁとか思う人はいっぺんガラッと環境を変えてみるのをオススメします。
ともだちを作ろう
soramichiさんも書いていたけど、留学生活において友達がいるのといないのでは天と地の差があると思う。自分はこの留学中にブラジル人のともだちができてよく一緒に遊びに行った。単純に楽しかったし、英語も(少し)上達するし、共同研究もできた*2。同じ分野なので、その後の国際会議でも会って一緒に観光したりできた。留学中の友達ってなんとなく特別な気がしていて、日本とブラジルだし国際会議を除いて全く会っていないんだけど、今後も連絡を取り合ったりしていくと思う。
何より刺激になる
とにかく周りのレベルが高い。高すぎた。PhD student になりたての学生がすでにもう KDD とか WWW の論文を数本持っていたりする*3。そんな感じの学生たちと同じ環境にいながら、たまに議論をしながら研究を進めていると思うだけで、自分がいかにちっぽけかを痛感してより一層がんばろうと思えた。月並みだとは思うけど、留学で得た効能としてはこれが一番だったんじゃないだろうか。